
コロナ禍が明け、以前のような生活が徐々に戻ってきました。今年からまた中国の留学ビザを取得できるようになったので、留学先の国に中国を選択する人が増えるでしょう。

でも、留学ってお金がかかるよね。できるだけ安く留学をする方法はないかな。
その気持ちよく分かります。そこで、中国政府奨学金を利用し、学費、寮費を無料で留学している私が中国の奨学金について解説します。
この記事を読めば申請方法だけでなく奨学金の試験で合格する方法も知ることができるでしょう。
目次
中国留学で使える奨学金の種類
- 中国政府奨学金(CSC Scholarship)
- 中国地方政府奨学金
- 中国の大学の奨学金
- 企業奨学金
中国留学で使える奨学金は主に4種類あります。それぞれ解説しますね。
中国政府奨学金(CSC Scholarship)
中国政府が給付する最も広く利用されている奨学金です。留学生に対して学費の免除、生活費の支給、医療保険の負担などの費用が返還不要で給付されます。
中国地方政府奨学金
中国の各地方政府が給付していて、地方の大学で学ぶ留学生を支援するための奨学金です。地方政府によって提供される奨学金の条件や額は異なります。
中国の大学の奨学金
中国の大学や高等教育機関は独自の奨学金プログラムを提供しており、留学生に学費の免除や生活費の支給を行っています。各大学の奨学金プログラムは異なるため、応募前に大学に詳細を確認することが重要です。
企業奨学金
一部の企業や財団は、留学生に対して奨学金を提供し、特定の専攻や条件を満たす学生をサポートしています。これらの奨学金は通常、将来の雇用に関連する条件がある場合もあります。
これらの奨学金は、留学生が中国で留学する際に受給できます。ただし、各奨学金プログラムの応募条件や締め切り、申請手順は異なるため、希望する奨学金に応じて詳細を確認することが大切です。また、応募前に適性と要件を満たすことができるかどうかを確認しましょう。
中国政府奨学金の募集要項について
募集人数:110人 倍率:1.8~2倍以上
申請可能校:院校搜索_院校&专业_留学中国 (campuschina.org)
奨学金の給付期間
出典:中国政府奨学金 | 海外留学情報サイト (jasso.go.jp)
奨学金の給付額と申請できる条件
学費 | 寮費の補助 ※1 | 医療保険 | 生活費 | 申請可能な年齢 | 申請可能な学歴 | 語学能力 | |
本科生 (学部生) | 免除 | 700元/月 | 無料 | 2500元/月 | 25歳以下 | 高卒以上 | HSK3級以上 |
普通進修生(学部または修士課程研究生) | 免除 | 700元/月 | 無料 | 3000元/月 | 45歳以下 | 高卒以上 | HSK3級以上 |
碩士研究生(修士課程) | 免除 | 700元/月 | 無料 | 3000元/月 | 35歳以下 | 学士号以上 | HSK3級以上 |
博士研究生(博士課程) | 免除 | 1000元/月 | 無料 | 3500元/月 | 40歳以下 | 修士号以上 | HSK4級以上 |
高級進修生(博士課程研究生) | 免除 | 1000元/月 | 無料 | 3500元/月 | 50歳以下 | 修士号以上or准教授以上 | HSK4級以上 |
※1 原則として二人部屋です。
大学側の事情により学外のアパートに入る場合は、下記の基準で居住手当が支給されます。
ただし、家族を同伴し、寮に居住することができない場合や本人の希望で学外のアパート等に入居する場合は、居住手当が支給ません。
申請に必要な書類と申請の流れ
申請にあたって下記の書類が必要です。
- 必要な資料
- 出願書(和文)
- 学習計画書(和文)
- 高校卒業(見込み)証明書(英)
- 成績証明書(英)
- 語学能力証明書(HSKなど)
- パスポートor戸籍抄本のコピー
※書類にはそれぞれ細かい規定があるので要チェック!
申請するにあたって上記の書類が必要になります。写真のサイズが決まっていたり、学習計画書を書かなければいけなかったり、書類の準備が大変です。早い時期からしっかりとミスのないように準備をしましょう。
高校卒業(見込み)証明書と成績証明書について
それぞれ英文の証明書を用意しなければなりません。
英文の卒業証明書や成績証明書は発行に時間がかかるので早めに申請すると良いです。証明書の有効期限は一般的に3か月だとされているので、10月中頃に申請すると丁度良いでしょう。
語学能力証明書(HSKなど)について
ホームページにはHSK3級以上と書いてありますが、級とスコアは高い方が良いです。
北京大学や清華大学といったトップ校での受給が希望であれば、HSK5級合格者がほとんどで6級を持っていた方が良いですね。
中国の大学を受験する際にもHSKが重要となるので中国に留学するのを決めたら、中国語の勉強を始めることをおすすめします。
奨学金申請の流れ
12~1月 | 奨学金申請(書類郵送) |
2月 | 書類審査の結果発表 |
2月 | CSC電子申請システムへの登録、外国人体格検査表・無犯罪経歴確約書の提出 ※1 |
2~3月 | 面接試験 |
4月 | 面接の合格発表 |
7月 | 最終合格発表 |
※1 外国人体格検査表は指定された病院を受診して発行してもらいます (英文)。
書類審査合格後のタイミングで受診、体格検査表の準備をしましょう。費用は約3万円かかります。
奨学金の出願期限は毎年12,1月ごろです。2022年は12/9が期限でした。年度によって出願期限は違うのでこまめにJASSOの中国政府奨学金のホームページを確認しておきましょう。
書類の準備は時間がかかるので、ホームページの更新を待たずに準備を10,11月ごろから準備すると良いです。
学習計画書の書き方

PREP法を使おう
学習計画書には志望理由、留学中の学習・研究計画、帰国後の計画について詳しく書けば良いです。私は日本語で約1400文字、中国語で約1000文字書きました。

といってもどのように書けば良いか分からない…
そんな方はPPEP(プレップ)法を利用しましょう。
PPEP法とは、プレゼンで用いられる分かりやすく説明をするためのモデルのことです。
PREP法とは?
- Point :要点(結論・主張)
- Reason :理由(結論にいたった理由・そう主張する理由)
- Example:具体例(理由に説得力を持たせるための事例・データ)
- Point :要点(結論・主張)
上記の4ステップの構成を骨格として文章を作ると、書きやすいだけでなく、読み手にも伝わりやすいのでおすすめです。
具体例
具体例を示すと、
Point:私は中国で技術を学び、将来○〇になりたいと考えています。/私が12歳の時には既に〇〇を志そうと思っていた。
Reason:中国の○〇の技術は有名で、××大学の△△教授から学びたいので中国に留学したいと考えるようになりました。/幼少期に、日中関係が冷え込んでいて、私はそれに心を痛め日中友好のために何かできないか考える様になった。だから私は中国へ留学して〇〇について学びたい。
Example:実際に〇〇の技術についてノーベル賞を受賞した教授がこの志望大学で教鞭をとっていて、その××教授から直接学びたいことが3つあります。/現在、中国は世界第二位の経済大国となっている。経済発展の理由の1つとして、特に××の地域での〇〇の発展が貢献していると私は分析した。だから、××の地域で〇〇を学び、将来に活かしたい。
Point:だから、××大学へ進学したいです。××大学を卒業後、中国で学んだ知識を日本でも存分に発揮し、〇〇として人々の役に立ちたいです。それだけでなく、〇〇の仕事を通して日中友好の一役を担えれば良いなと考えています。
この型に自身の情報や考えを足せば見やすい文章が書けるでしょう。
です・ます調でも、だ・である調でもどちらでも良いです。私はだ・である調で書いて提出しました。
志望理由、留学中の学習・研究計画、帰国後の計画を細かく書くということが条件となっているので、これらの条件をしっかりと満たすことが重要です。
面接でも学習計画書を元に質問されるので熱意が伝わる様に具体的に記入しましょう。完成した後、和文、中文両方とも誰かに添削してもらうと安心ですね。
面接について
毎年2,3月にお台場で書類審査通過者の面接試験が行われます。
約5人のグループ面接形式です。
質問の大部分が提出した書類の内容の確認と、少し掘り下げた内容が聞かれます。
中国語での質問もありますがどれほどの語学力があるかの確認なので、焦らずに相手に伝わる様に答えましょう。
私は「中国人旅行者は日本へ旅行した際に文化の違いで疎まれることがあるが、あなたはどう思うか?またどうすれば良いだろうか?」ということを質問されました。
面接以降の流れ
4月に面接の合格発表があります。ここで合格していれば最終発表も合格していることがほとんどです。
7月に最終合否結果の通知がされます。少数ですが書類申請時に記入した大学でない場合もあるそうです。
入学後、9月から毎月5日に2500元(本科生、2人部屋の場合)振り込まれます。
留年・休学したら奨学金はどうなる?
留年・休学した場合はその年の給付が停止され、進級したら給付が再開されます。
しかし、給付期間は変更されないので卒業する年が伸びても最初に決められた期間しか給付されません。
給付が停止されると、毎月振り込まれる分以外にも学費、寮費、医療保険も自己負担となります。留年・休学をするかどうか迷った時に是非このことを思い出してください。
まとめ:奨学金を手に入れて素晴らしい留学生活を送ろう
- 中国留学で利用できる奨学金は中国政府奨学金以外にもある
- 中国政府奨学金の申請は入念な準備が必要なので、こまめに公式サイトをチェックする
- 学習計画書はPREP法を使って分かりやすく書く
中国留学をする際に、中国政府奨学金を利用することは非常に大きな経済的なメリットを得られます。
しかし、奨学金の申請条件や手続きには注意が必要です。
準備が大変なだけでなく、ミス1つで不合格にされるほど選考は厳しいです。
応募前にJASSOのホームページから詳細を確認し、時間をかけて準備をしましょう。
中国への留学は、新しい冒険と成長の始まりとなります。ぜひ、中国留学で夢を実現する一歩を踏み出しましょう。